2021.08.20
北勢サテライト「健康福祉システム開発研究会」第11回を開催しました
2021年7月16日(金)17時より、三重大学北勢サテライトの企画として、工学研究科の駒田諭教授が代表を務める「健康福祉システム開発研究会」の第11回を開催しました。
本研究会には主に企業、大学・教育機関、行政、介護・福祉分野の関係者が参加し、産学官の連携により、超高齢社会においてもご高齢の方が健康で健やかに生活できる環境を支援し、解決していく方法を考えることを目的としています。
今年度1回目となる今回も昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大に配慮し、Zoomを活用したオンライン形式での開催となりました。
高齢社会の進展により、今後介護の現場では需要者が供給者を大幅に上回っていくことが予測されるため、人手不足は喫緊の課題であり、それを補う介護ロボットの導入やICTの活用が目指されています。今回の研究会では、社会の実情を踏まえた厚生労働省が打ち出す「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム事業」や三重県の「介護従事者確保事業費補助金(ICT導入支援事業・介護ロボット導入支援事業)」を見据えながら、3件の研究紹介を実施しました。
1)鈴鹿工業高等専門学校 機械工学科 白井達也 教授
1例目は、「ちょっと壊れても動き続けるユニークなモーターと腰痛を防ぐ装着型姿勢アシスト装置」と題し、「姿勢保持型」のアシストスーツに関する研究紹介です。農作業をする高齢者や介護施設のスタッフは中腰などのきつい姿勢を長時間保持しなければならない場面が多く、その身体的負担を軽減することがアシストスーツの目的です。装着の容易さや重量、そしてデザイン性も含めた「使いやすさ」が実用化に向けて重要であることが議論されました。
2)鈴鹿医療科学大学 医用工学部 医療健康データサイエンス学科 ブイニャン・ショエブ 准教授
2例目は、「携帯型心電計を用いた計測と解析」と題し、安静時と運動後の心拍の変動を解析した研究結果の紹介です。自律神経の活動は外部刺激にとどまらず、安静時であっても呼吸のリズムや血圧変動の影響を受けて変化しており、健常な人の心拍変動には微量のゆらぎが見られるとのことです。本研究に関連して様々な心電図が紹介される中で、前出1)のアシストスーツの負担軽減効果を立証するのにも役立つ可能性が議論されました。双方の研究に実りある成果が出ることが期待されます。
3)愛知県立大学 情報科学部 河中治樹 准教授
最後は、「トイレで健康モニタリング-排尿量計測・排便性状分類の画像処理-」と題して、排せつ物を画像で確認することで健康管理に役立てる研究の紹介です。工学系研究者やメーカー開発者からは「トイレにカメラなんか設置するとは何事だ!」という声もあるそうですが、実際に毎日水分管理をしている方からは「全く気にしないから早く実現してほしい」、看護師の方からも「これがあれば記録ミスや容器の清掃作業から解放され助かる」とのコメントが寄せられているそうで、カメラレンズの掃除など実用化への課題は残りますが、ニーズの強さが窺われる研究です。また、大腸癌啓発を目的に開発されたアプリゲームも紹介され、医療現場のみならず家庭・個人レベルにおいても日常的な排せつ情報を自動的に記録して健康管理に利用するための実用的な研究成果が期待されます。
今回は総勢22名の参加があり、活発な意見交換が行われました。
次回は10月15日(金)17時からを予定しております。多くの皆様の参加をお待ちしております。
以上