2021.07.28
第20回「北勢地域経営研究会」を開催しました
2021年7月21日(水)18時30分より、四日市市のユマニテクプラザにて、人文学部の青木雅生教授が代表を務める「北勢地域経営研究会」の第20回を開催しました。
本研究会は、三重県内の中小企業が顧客にも従業員にも「魅力ある企業」となるため、異業者交流も兼ねた若手中小企業経営者を中心とした学習機会を創出することを目的としており、2019年度から定例で月1回程度開催しております。研究会立ち上げの準備会を含め第20回となる今回は、中小企業に所属する方を中心に総勢10名の参加があり、勉強会を兼ねた活発な意見交換が行われました。
今回は2部構成で、前半は中石和良『サーキュラー・エコノミー 企業がやるべきSDGs実践の書』(2020年,ポプラ新書)を共通文献として意見交換を、後半は「企業紹介」として参加者の一人から「生活協同組合コープみえ」についての紹介を受け、今後のそのあり方について議論を行いました。
「サーキュラー・エコノミー」は「循環型経済」と訳すことができます。しかしそれは、リサイクルなどで廃棄物の発生を抑制することを目指す「リサイクリング・エコノミー」にとどまるのではなく、廃棄物を発生させず資源を使い続けること(循環)を前提とする仕組みに変えていくことを目指しています。日本でも高度経済成長を通じて「大量生産・大量消費・大量廃棄」が定着し、廃棄物問題を顕在化させてきました。一方で企業の成長には「大量生産」でスケールメリットを追求することに一定の合理性があり、利益と環境の両立はその必要性は認識されてはいても容易なことではありません。
サーキュラー・エコノミーでは、企業にとって「商品を売って終わり」ではなく、「企業と消費者のシェア」と捉え直すことで、企業としては大量生産・大量廃棄を脱却しつつ顧客と長期的な関係を築く、というビジネスモデルの転換が考えられており、そのことを理解するためメンバーの間で議論されました。
また、その具体的な実現のために何をどうすべきか、途中から少人数のグループに分かれてディスカッションが繰り広げられました。出席者各業種の立場から、「製品の作られた過程」にも注目する(ライフサイクルアセスメント)ことで、キレイ言で終わらせない現実的なSDGsとの関わり方が議論されました。
後半の企業紹介では、生活協同組合コープみえについて紹介されました。昨年からコロナ禍の影響で宅配需要が急増した近況も交えた報告を基に、協同組合論についても研究する青木教授と共に「協同組合」本来の理念や社会的役割を見直しつつ、今後どう社会のニーズに応えていくべきか、深い議論が展開されました。
本研究会は、月1回程度のペースで、今後も開催を予定しております。
以上