2021.11.26
第1回「地域社会の多様性を促進する日本語教育研究会」を開催しました
2021年10月29日(金)14時より、「地域社会の多様性を促進する日本語教育研究会」(代表:教育学部・服部明子准教授、人文学部・吉田悦子教授、高等教育デザイン推進機構・黄文哲講師)の第1回を、ユマニテクプラザにて開催しました。今回は対面とオンラインとのハイブリッドで開催し、総勢21名の方にご参加いただきました。
本研究会は、地域の日本語教育に関する幅広いテーマを取り上げ、講演会およびワークショップ開催を通じ、北勢地域の企業や市民の皆様への専門的な知見の提供に加え、関係組織間を結ぶ連携基盤を構築し、地域社会を下支えすることを目指しています。
第1部では、カシオ計算機株式会社 教育BU 関数戦略部 商品企画室 学販担当室長 小川宗之氏を講師に、「日本語教育をひらく:産学連携から地域の多文化共生へ」と題し、CASIOの教育取組についてお話し頂きました。CASIOといえば社名にもある通り計算機のメーカーで、45年以上の歴史を持つ関数電卓は理系学生の必需品ですし、もう一つの目玉である電子辞書は25年の歴史を持ち、語学の学習者にとって強い味方です。小川氏は電子辞書初号機の商品開発に関わり、国内外で日本語学習電子辞書開発をはじめとした、日本語を学ぶための商品開発プロジェクトに携わってきており、「外国人による日本語学習」と向き合ってきた経験があります。多文化共生を考える上で、どのような環境でどう学んでいるのか、日本を当たり前として考えないこと、可能な限り現場を知ることの重要性が強調されました。
第2部では「企業内コミュニケーションと日本語教育」と題したワークショップを開催しました(科学研究費18K12425)。外国人と日本人が共に働く現場ではどのようなコミュニケーションが行われているか、普段私たちが何気なく行っている「会話」を観察し、日本語を教える時に留意することを考えるのが今回の趣旨です。参加者の皆さんがそれぞれの経験や職場環境を思い起こし、「職場で初めて外国人留学生をインターンシップで迎えることになった」シチュエーションを想定し、「質問する」「答える」やりとりを一つ以上入れてモデル会話の作成に挑戦しました。学校事務や飲食店、ホテルの受付など様々なシチュエーションから、「どんな仕事をしてもらうか」「何を覚えてほしいか」など設定したものをそれぞれ発表し、意見交換をしました。その中で皆さんが気付かれたのは、その職場特有の言葉や専門用語など、一般的な教科書では答えを得られない言葉の存在です。既存の日本語教材では対応しきれない、その職場独自の日本語教材を作成する必要があるのです。
今回のワークショップの結果は、冒頭で述べた本研究会の設立趣旨を再認識させるものとなりました。これを踏まえ今後、北勢地域の日本語教育を下支えするための研究会を継続していきます。
次回は12月16日(木)14時より予定しております。多くの皆様の参加をお待ちしております。
以上