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2022.12.13

令和4年度第2回「未来都市デザイン研究会」を開催しました

2022年12月6日(木)15時30分より、三重大学北勢サテライト研究会として、工学研究科の近藤早映准教授が幹事を務める「未来都市デザイン研究会」の令和4年度2回目を開催しました。今回は、東京大学先端科学技術研究センターの飯田誠特任准教授をお招きし、「カーボンニュートラル社会創造に向けて~未来への創造力を鍛える~」をテーマにご講演頂きました。

前半は、SDGsとその根底にある概念「no one left behind(誰ひとり取り残さない)」を土台に、現在とこれからの日本のエネルギー事情について学びました。ローマクラブ『成長の限界』で示されたグラフを見ながら、地球が迎えるピークアウト(成長の限界)について、「まだ豊かな今なら、自分たちの活動により、楽しみながら時期をずらすことができ、未来を少し変えられる。」と語られました。さらに、「日本・四日市市は豊かだと思いますか」という問いをきっかけに、「豊かさ」ついても考えました。GDPをはじめ指標がたくさんあり、多面的・多角的に捉えることが重要である「豊かさ」を考えながら、持続可能な社会・再生可能エネルギーの重要性の話題へと導かれました。

後半は、エネルギーに関連する時代の変化を読み解きながら、化石燃料発電から再生可能エネルギー発電への変換について考えました。また、世界でも導入量が増えている風力発電について、基礎知識、導入のメリットから最新の研究までを解説されました。さらに、日本でも導入の増加により期待できる風力発電の投資対効果・経済効果を、いかに国内にとどめられるかが今後の課題であり、これまであたためていた地域企業のものづくりの力を活用できる可能性が紹介されました。風力発電事業の構造、様々な自治体での取組事例とその多岐にわたる効果を知ることで、風力発電には幅広い分野の協力が不可欠で、未来のために地域が1つのチームとなって取り組んでこそ大きな価値のあるテーマだと実感する時間となりました。

講演中は、スマートフォンを用い、リアルタイムでアンケート・クイズやアイデアの共有が行われ、参加型で受講者に寄り添った講座となり、盛り上がりました。最後には、飯田先生から「100年後、どうなっているか。人間は考えた事しかやらない。考えて行動することが大切。いろいろな人とのつながりを持ち、社会を巻き込んで、みんなで100年後の未来づくりを。」とメッセージが送られました。総勢18名の参加があり、講演終了後にも質問が続き、活発に意見交換が行われました。未来の都市づくりを担う三重大学生の参加もあり、斬新かつ柔軟な思考を持つフレッシュな若手にとって、刺激のある学びの場にもなりました。

第3回は、2023年1月6日(金)15時30分から「公共施設マネジメントの新たな前提条件」(講師:東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 瀬田史彦准教授)をテーマに実施予定です。

 

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※「未来都市デザイン研究会」とは

今年度北勢サテライトで新たに設置された研究会です。近年の目覚ましいスピードで発展する科学技術により、我々の生活が便利かつ自由になった一方で、変革する都市生活や不確実な未来に戸惑いが生じるという背景を受けて研究会が立ち上がりました。公民連携で未来の都市デザインに活用可能な研究シーズや社会的視点を持ち寄り、フラットに議論しながら、参加者全員で身近な生活や地域社会の未来を考える機会を共有します。大学の研究シーズを投げかけるだけではなく、地域の皆様の関心のある様々な研究分野から、私たちの生活に落とし込みづらいトピックスについて一緒に考えるきっかけづくりを目指します。