2022.01.25
第24回「北勢地域経営研究会」を開催しました
2021年12月15日(水)18時30分より、人文学部の青木雅生教授が代表を務める「北勢地域経営研究会」の第24回を開催しました。
本研究会は、三重県内の中小企業が顧客にも従業員にも地域にも「魅力ある企業」となるため、異業者交流も兼ねた若手中小企業経営者を中心とした学習機会を創出することを目的としており、2019年度から定例で月1回程度開催しております。研究会立ち上げの準備会を含め第24回となる今回は、中小企業に所属する方を中心に総勢10名の参加があり、勉強会を兼ねた活発な意見交換が行われました。
今回は初めに「事業プレゼンテーション」として、若者と地域をつなぐマーケティング企業 株式会社Dream3.0について紹介がありました。Z世代(明確な定義はありませんが、1990年代後半から2010年頃の間に生まれた世代を指す言葉として定着しています)と呼ばれる今の若者はデフレ時代に生まれ育ち、また幼少期からインターネットやスマートフォンに触れてきたデジタルネイティブであることも影響してか、モノの消費に消極的な世代とよく特徴付けられます。日本の高度経済成長を支えた終身雇用の世代に比べ、会社への帰属意識も薄い傾向があります。多様な働き方が普及した近年では組織に縛られない働き方も選択肢である一方で、長続きしないことに対しネガティブに指摘される側面があるのも実情です。そのようなZ世代の「独立・起業の足掛かりにしたい」「自分の知識やスキルを試したい」「スキルを生かして地元企業に貢献したい」といった思いと、企業の「多様な人材とつながりたい」「斬新なアイデアが欲しい」「デジタルを活用した業務改善がしたい」といった思いをつなぎ合わせたいというのが株式会社Dream3.0の事業目的です。若者と地域企業を橋渡しすることで新たな付加価値の創造に一役買うことが期待される企業です。
今回の共通文献は明日香壽川『グリーン・ニューディール―世界を動かすガバニング・アジェンダ』(2021年,岩波新書)でした。環境問題は世界規模で解決を図っていかなければなりませんが、懐疑的な考えの人たちも存在し、一枚岩になりきれないのが実情です。本書はそういった社会構造的な要因についても切り込む良書です。再生可能エネルギーの普及が進まない要因を考えると共に、再生可能エネルギーとて課題がないわけではないことも今回の一つの論点になりました。再エネ由来の電力がサプライチェーン全体に求められることは前回も議論されましたが、それと共に再エネの抱える課題についても議論した今回は、例えば住宅営業に従事する参加者から「顧客に勧める太陽光発電がそんな課題を抱えているとは考えたこともなかった」との感想が漏れたように、学びの多い機会となったようです。
本研究会は、月1回程度のペースで、今後も開催を予定しております。
以上