2022.02.24
第2回「地域社会の多様性を促進する日本語教育研究会」を開催しました
2021年12月16日(木)14時より、教育学部の服部明子准教授が代表を務める「地域社会の多様性を促進する日本語教育研究会」の第2回を、ユマニテクプラザにて開催しました。今回も対面とオンラインとのハイブリッドで開催し、総勢24名の方にご参加いただきました。
本研究会は、地域の日本語教育に関する幅広いテーマを取り上げ、講演会およびワークショップ開催を通じ、北勢地域の企業や市民の皆様への専門的な知見の提供に加え、関係組織間を結ぶ連携基盤を構築し、地域社会を下支えすることを目指しています。
第1部では、株式会社デンソー技術企画部の森島聡氏を講師としてお招きし、「ダイバーシティな職場における新しい日本語コミュニケーション能力の目標づくり」と題してご講演いただき、オンラインでも配信いたしました。
森島氏は社内での技術系人材育成をきっかけとして日本語教育に携わってきた自身の経験を踏まえ、目標を曖昧にしたままHow toばかり追求するのは一般的に失敗しがちな典型例であると指摘しました。つまり、外国人就労者を雇用する企業クライアント側と教育機関側との間に行き違いがあるとすれば、それは目標の共有ができていないのが大きな要因であると述べられました。そこで、既存の能力試験資格取得に留まらないコミュニケーション能力の目標基準をまず開発し、両者および学習者と共有を図っているとのことです。さらに、この目標を踏まえた研修プログラムの開発、研修品質を担保する講師養成へと続く形が本来あるべき語学研修の進め方であり、実践的な目標に沿ってすべての仕組みが収束していく未来を示されました。
第2部では『職場で学ぶ・協働で学ぶ ―「みんなのパネル」の作成と活用』と題したワークショップを開催しました。三重大学人文学部文化学科の吉田悦子教授より、外国人と日本人が共存するビジネスコミュニケーションの現場における調査研究の現状と背景について事例紹介があり、言葉や文化の違いから生じる食い違いを防ぐために共通の作業マニュアルを活用することの重要性について指摘がありました。続けて、作業マニュアルに記載する適切な日本語表現に関するワークショップを実施し、外国人にとっての「易しい日本語」とはどういった表現か、参加者間で活発な意見交換が展開されました。
最後に、地域と連携するプラットフォームとしての側面を持つ本研究会の締めくくりとして、日本語教育等に関して参加者間で広く意見交換を行うための交流会を開催しました。参加者それぞれの立場での経験談も交えながら議論を交わし、第2部のワークショップの熱そのままに、第2回研究会は盛況のまま幕を閉じました。
本研究会は令和4年度も活動を継続いたします。皆様のご参加をお待ちしています。
以上