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2021.11.02

北勢サテライト「健康福祉システム開発研究会」第12回を開催しました

2021年10月15日(金)17時より、三重大学北勢サテライトの企画として、工学研究科の駒田諭教授が代表を務める「健康福祉システム開発研究会」の第12回を開催しました。
本研究会には主に企業、大学・教育機関、行政、介護・福祉分野の関係者が参加し、産官学の連携により、超高齢社会においてもご高齢の方が健康で健やかに生活できる環境を支援し、解決していく方法を考えることを目的としています。
今年度2回目となる今回も、新型コロナウイルス感染拡大に配慮し、Zoomを活用したオンライン形式での開催となりました。

 

高齢社会の進展により、今後介護の現場では需要者が供給者を大幅に上回っていくことが予測されるため、人手不足は喫緊の課題であり、それを補う介護ロボットの導入やICTの活用が目指されています。今回の研究会では、社会の実情を踏まえた厚生労働省が打ち出す「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム事業」や三重県の「介護従事者確保事業費補助金(ICT導入支援事業・介護ロボット導入支援事業)」を見据えながら、2件の研究紹介を実施しました。

 

1)鈴鹿医療科学大学 医用工学部 医療健康データサイエンス学科 山下幸司 准教授

1件目は「ラズベリーパイによる在宅医療支援システムについて」と題し、IoT機器を活用したオンラインでのリハビリテーション支援についての研究紹介です。通院が困難な患者さんが自宅で行う在宅医療は、外来・通院医療や入院医療に次ぐ「第3の医療」と位置付けられ、コロナ禍も相まって重要性が増しています。
今回タイトルにあるラズベリーパイとは手のひらサイズの小型コンピュータですが、安価ながらデスクトップと同等の機能を持っています。カメラやセンサから得られたデータを、ラズベリーパイを介してスマートフォンに送信し、取得したデータを記録・蓄積することで患者さんや御家族が状況を確認できるので、遠くにいながら患者さんの異変を察知するのに役立ちます。在宅医療への実用にあたっては医療機関との連絡体制の構築も必要になりますが、患者さんの負担を軽減しながら在宅医療の質の向上に繋がることが期待されます。

 

     

2)ミイシステム株式会社 稲玉繁樹 代表取締役社長

2件目は「自分で作れる遠隔監視(IoT向けセンサ~マイコン~通信技術の紹介とデモ)」と題し、1つ目の紹介でも登場した遠隔監視システムを自作するハードルは決して高くないことが説明されました。医療分野ではIoT技術から一歩踏み込み、「IoMT (Internet of Medical Things)」という、医療に使われる様々な機器とヘルスケアのITシステムをオンラインのネットワークを通じて繋ぐ考え方が近年形成されてきており、IoMT化が進めば患者や診療に関するデータがリアルタイムに蓄積されてビッグデータとして分析できるようになりますので、新たな医学的知見や治療方法の提案に繋がる可能性が期待されています。そのような社会情勢を鑑みると、IoT技術を健康・福祉・介護の分野へ役立てることは利用者個人のみならず、延いては社会全体の発展にも資することになります。
今回は遠隔監視に使える製品を具体的に紹介しつつ、実際に簡単なプログラミングと機器の接続を実演しながら、出席者も各自のスマホからQRコードを通じて実演に参加することで、遠隔操作を体験しました。最後に、資材費や情報収集手段の観点から、ものづくりのハードルは昔より確実に下がっているので、「失敗してもイイからやってみる」ことの重要性が強調されました。

 

   

 

今回は総勢19名の参加があり、活発な意見交換が行われました。
次回は1月21日(金)17時より予定しております。多くの皆様の参加をお待ちしております。

以上